上映イベント宣伝:12/10㈰「ちょっとだけ遠い人々 現代映画と距離の感覚」

12/10㈰の13:30から17:00にかけて、駒場キャンパス18号館ホールにて「ちょっとだけ遠い人々 現代映画と距離の感覚」という題のイベントがあります。東京大学大学院表象文化論コースのWebジャーナル『Phantastopia』編集委員会の主催で、拙作『Flip-Up Tonic』『金曜物語』とたかはしそうたさんの作品『移動する記憶装置展』が上映されます。詳細は以下のとおりです。

phantastopia.com

集客がそれなりに順調らしいと聞いて浮足立っているのですが、せっかくの機会なのでなるべく多くの方に来ていただいてあわよくば色々お叱りを受けたいという願望があり、向こう1週間で多少でも宣伝効果があがればと上映作品の紹介をしてみます。ご都合のつく方はお申し込みのうえ足を運んでくださると嬉しいです。

このイベントはぴあフィルムフェスティバルコンペティションが何かの間違いで『Flip-Up Tonic』を入選枠に含めてくださったことから始まりました。同映画祭関係者の皆様、それからこれまで作品の制作にかかわってくださった方々にお礼を申し上げます。

 

『移動する記憶装置展』

youtu.be

たかはしそうた監督による東京藝術大学大学院の修了制作で、PFFアワードでは観客賞を受賞されました。劇場公開もされた同監督の『上飯田の話』に続いて横浜市泉区上飯田が舞台ですが、題が示唆するようにそこは移動の中継地点でしかないようにも見えます。

アーティスト=宇宙人を媒介に「装置」が回転していくこの映画は、町の現在という一瞬を緩やかにとらえ続ける一方、記憶が徐々に劣化していく過程を凝縮して見せる試みでもあると思います。大学で紹介(というと傲慢ですが)できたら面白いお話が聞けるのではないかと思い、ご相談を差し上げたところ快諾してくださいました。

全編を通じて力の抜けた緊張感が持続する不思議な映画で、次のフレームが何を映すかをめぐる期待でとても楽しく鑑賞していました。初見時は最初のショットが訳も分からず刺さってしまっていきなり参っていたこともここで告白します。

 

『Flip-Up Tonic』

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以前気が向いて作った変な予告編をこの期に及んで公開します。映画制作サークルで初めてまともに人々に協力してもらいながら手探りで作った短編映画です。運よくうまくいった習作という位置づけにしています。

SF映画は存在しない」という蓮實重彦氏の文章を真に受けてできてしまったSF映画で、意味をなさないタイトルは Pulp Fictionクエンティン・タランティーノ監督、1994年)のアナグラムでできています。時系列の入れ替えや中身の薄さは同作の真似のつもりですが、青山真治監督による『WiLd LIFe』(1997年)が楽しすぎた影響で映像は持続しながら時間が逆流する箇所もいくつか出てきます。

PFFに合わせて審査にかかわられた方がブログ記事を書いてくださったので、ここでも貼り付けます。円環構造や発話の問題から「挑発的な作品である」と締めてくださり、恐れ多くもとても嬉しかったです。改めてありがとうございました。

nakayama611111.hatenablog.com

 

『金曜物語』


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スクリューボール・コメディのジャンル研究をやるぞと大見得を切って企画し、映画美学校の修了制作として作った短編です。要項に課された15分の制約を生かせば「再婚喜劇」のド直球な逆張りも成立するのではないかという見立てをもとに、非礼(?)を承知でハワード・ホークスの露骨な真似から映画を始めています。参照先が遠いうえに古典期ハリウッドの直後を生きている風を装っているので二重に時代錯誤的な試みといえそうですが、いまはこれしか手がないとこういう作戦を取りました。

とりあえず現時点の自己ベストととらえている作品です。まだ学校外では修了制作の上映会で一度お披露目しただけなので、それなりの数の目にさらされるのを楽しみにしています。成否やいかに、というか何でもご感想をいただければ嬉しいです。