2023-01-01から1年間の記事一覧

北野武『首』

新作として見る初めての北野武作品だったものでだいぶ浮かれて臨んだ『首』(2023年)について。 youtu.be 音楽の響く白画面に首の字が現れると、その字の首にあたりそうな部分が切り落とされてフレームの下へ消える。背景説明に続いて水辺の死体が映り、次…

アンディ・ロビンソン、『ダーティハリー』への出演を回想する

以下は英語圏のホラー雑誌 Rue Morgue 掲載のインタビュー記事 "Andrew Robinson Looks Back At His Days As The Scorpio Killer - Rue Morgue(アンドリュー・ロビンソンがスコーピオ・キラーを演じた日々を振り返る)" の私訳である。出典を記すことを条件…

上映イベント宣伝:12/10㈰「ちょっとだけ遠い人々 現代映画と距離の感覚」

12/10㈰の13:30から17:00にかけて、駒場キャンパス18号館ホールにて「ちょっとだけ遠い人々 現代映画と距離の感覚」という題のイベントがあります。東京大学大学院表象文化論コースのWebジャーナル『Phantastopia』編集委員会の主催で、拙作『Flip-Up Tonic…

再録「勝手に映画評『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』」

*1『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022年)は、サム・ライミが監督を務めたスーパーヒーロー映画である。同作のうち、下の動画の後半にあたる1つの場面について、その正当性というか論理のようなものを記述してみる。 youtu.be …

再録「勝手に映画評『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021年)」

*1上の模式図は、スティーヴン・スピルバーグが監督したミュージカル映画『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021年)の画面に溢れている形である。バルコニーの鉄柵、地下倉庫の棚、あちこちに現れる梯子・・・これらの装置に共通する形状を以下では「工工…

『ダーティハリー』脚本と結末について

ドン・シーゲル監督、クリント・イーストウッド主演の『ダーティハリー』の脚本をScript Slugで見つけた。本編でクレジットされているのはハリー・ジュリアン・フィンク、R・M・フィンク、ディーン・ライズナーの3人である。ル・シネマで35mmフィルムの上映…

再録「ジョン・フォード『駅馬車』の顔について」

*1ジョン・フォード監督による1939年の西部劇映画『駅馬車』(原題 Stagecoach)を再見した。3回目でもやはり面白かったが、ちょっと気になったことを簡単に書き留めた。映画はYouTubeでも見られる。 youtu.be 『駅馬車』は御者を含め駅馬車に乗り合わせた9…

お辞儀コメディ『淑女と髯』について

国立映画アーカイブで1931年の小津安二郎作品『淑女と髯』を見た。岡田時彦が「髯」の男(生やしたり剃ったり付けたりする)を演じ、川崎弘子、伊達里子、飯塚敏子らの「淑女」たちと関係したりしなかったりするサイレント・コメディである。しばらく劇場で…

『Flip-Up Tonic』について

第45回ぴあフィルムフェスティバルのPFFアワードにて、昨年サークルで作った短編映画『Flip-Up Tonic』を入選作品に含めていただけることになりました。制作に関わってくれた皆様、改めて貴重な時間をありがとうございました。誰に向けられているのだかよく…